株のイラスト「グラフを見るトレーダー」
ボクも社会人になって以来ずっとお世話になってきた従業員持株会ですが、この春、お別れを告げることにしました。
資産運用には、やはり原資が必要。少しでもスタートダッシュを良くするための選択でした。

本記事では、個々の会社によって詳細の違う制度について書いています。実際に読者さま自身が従業員持株会について判断なさる際は、かならずご自身の会社の制度をご確認ください。

もくじ

従業員持株会のメリット

いろいろな株式会社で、従業員への福利厚生の一環として、「従業員持株会」の制度があります。
これは、毎月給与天引きにて自社株を少しずつ積み立てていくことのできる制度で、持株会がまとめて買ってくれるため、月5,000円や10,000円といった、売買単位株にはとうてい足りないような少額でも積み立てができます。
もちろん、売買単位株に到達すれば、持株会から自分の分を受け取り、自分名義の株式として扱うことができます。

しかもこれは、積み立て金額を変えるのに若干面倒な手続きがあるので、逆に言えばそのおかげで、従業員であっても自社株が買えます。つまり「インサイダー取引」に該当しないとみなされるのです。

さらに、多くの会社はこの制度を利用している従業員に対し、5%から15%程度の「奨励金」を付けてくれます。
つまり、たとえばボクが毎月10,000円を積み立てる設定をしたとすると、会社が10%だとすれば1,000円、奨励金をくれるので、天引きは10,000円なのに株は11,000円分買えることになります。
銀行の預金の金利などとは比べ物にならない数字ですね。

従業員側のメリットとしては、

  • 給与天引きなので、「先取り貯金」のような形で資産づくりができる
  • 毎月一定額を積み立てるので、いわゆる「ドル・コスト平均法」で、株価が低い時には多く株が買え、株価が高い時には買いすぎを控えられるため効率よく持ち株数を増やせる
  • 持ち株数に応じて、通常の株主同様配当金がもらえる(株主優待は単位株未満の状態では基本的にもらえませんが…)
  • 奨励金が、銀行預金の利息とは比べ物にならないレベルでもらえる
  • 会社の経営への協力姿勢を示せる(人事考課で有利かも?)
といったところがあります。

一方、会社側のメリットとしては、

  • 社員の、会社への帰属意識や忠誠心が強まる
  • 株主総会において、経営を傾けるような判断をするはずのない(と思われる)持株会や社員が自社株を持つことで、敵対的な株主からの攻撃を防ぐことができる
  • 簡単に売ることができない株が増えることで、株価が安定する
といったものがあります。

なんだ、こりゃボクも会社もうれしい、win-win制度じゃないか!
そう思ったボクは、新入社員として今の会社(ちなみに、とっても大きい会社です)に入った当初よりずっと、この制度を利用してきました。
当初は月に5,000円積み立てていましたが、途中からは10,000円に増額していました。

しかしデメリットに気づく

いや、よく、巷では、この手の話をすると、「給与と資産運用、両方を会社に依存するのはリスク分散できてないから危ないよ!」みたいなことを言われるんですよね。

実際その通りです。
会社の業績が順調なら給料も増えて、株価も増え(ることで持株会で買った自分の資産評価額も増え)て万々歳、だがしかし逆もまた然り、会社が傾けば給与も資産も減ってダブルパンチ。

でも、正直、うちの会社はまだ大丈夫です。
…とか言ってると、うわコイツも大企業病かよ…そんな言ってるとあそことかあそことかみたいに突然つぶれて大変な目にあうぞ…、とか思われそうですが、まぁそうは言っても、少なくともボクが駄菓子屋さんになるまでは100%うちの会社は大丈夫だと踏んでます笑

では、ボクが退会にいたったデメリットは何かというと。
もっと単純なことで、「たかだか単利でしかない奨励金にだまされている」っていうところなんですよね。

というのも、資産運用の鉄則、かのアインシュタイン先生も人類最大の発明と呼んだといわれている「複利」の活用ですが、従業員持株会の場合、複利が効いてくるのは、配当金の再投資にあたる部分だけであって、奨励金は月々の積立額に対して単利でついているだけなんですよね。

配当金、会社によって違いはあるとは思いますが、まぁ、うちの会社の場合、そんなに大したことないんですよね…。
というのも、株価がそれなりにお高いので、月に1万円とか出してる程度じゃぜんぜんうまみのない程度の配当で。
もし、配当金がもっとたくさんある会社なら、従業員持株会にも複利が効いてくるのでアリかもしれませんが…。

単利と複利の比較グラフ
ちなみに、単利で10%もらえる場合と、年5%の利益で複利で運用した場合とを比べると、5年で複利が勝ちます。(グラフは年12万円をそれぞれの運用の仕方で増やしたときのものです。)
もし複利の方を年10%にできたら、3年で勝てます。
そしていったん勝ってしまえば、アインシュタイン先生もびっくりな勢いの曲線で、複利側はずっとずっと伸びていきます。単利側はずっと直線で伸びていくだけなのにもかかわらず。

ボクの判断

というわけで、

  • さっさとサラリーマンを辞めて駄菓子屋さんになりたいボクとしては、老後を見すえた長期的な資産形成よりも、独立を見すえて短・中期的にお金が手に入る方がいい
  • がんばって年10%で複利運用できれば、3年で(つまり中期的には)単利に勝てる
というあたりを考え、ボクは従業員持株会を退会することとしました。
そして得られたお金を、「完済、からの資産運用」記事にある各種資産運用の原資として活用することにしました。

ちょうど東京オリンピック・パラリンピックの頃くらいには、ボクのこの選択が吉と出るか凶と出るかわかると思います。
楽しみですね!

なお、ボクは、そのうち駄菓子屋さんになりたいという夢があるのであまり考慮しませんでしたが、従業員持株会を退会するということは、会社や立場によっては、会社に対する反逆行為とみなされ、大きく人事考課に響く…かもしれません(知りませんが)。
そこを考慮する必要のある立場の方は、くれぐれもご注意ください。

今回も、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

イラスト: 「いらすとや」さま